AWS Startup Day 2019 Tokyoに参加・登壇した話
昨日、AWS Startup Day 2019 Tokyoが開催されました。
フルタイムで参加と、ありがたいことに登壇させていただきました。
折角の機会なので怒られないであろう範囲でいろいろ記載します。
結論
Amazon社およびAWSはいいぞ!
本当にお客様中心で動いている企業文化を再認識しました。
スタートアップの注意点、ノウハウなど得るものが沢山ありました。
そして、イベント関係者、参加者の方々、本当にありがとうございます。
資料公開済み
当日のアンケートに答えると資料が公開されるとのことですが、今回僕が話した内容は他でも話していることもあるので、勝手に公開しました。
また、資料内ではCTO内定とありますが、実際その話は白紙になっています。
参加経緯
いつものようにAWS Loftにいる日々を過ごしていたら、このイベントのネット上での告知に最初は気づきました。
僕自身がスタートアップ企業にCTOなりかけてたのと、自身が起業する未来がきた際に先輩方の経験を聞きたくて申し込みました。
とはいえ、タイムテーブルを確認したら聴講形式、ワークショップ、ハンズオンがあり、どれも大変魅力的でしたが資料が公開される可能性にかけて、ワークショップとハンズオンを選ばせてもらいました。
最近、Amazonさんのイベントに参加した際に
「資料公開されますか!?」
と質問すると公開される流れになることが多々あるので今回もそうするつもりでした。
JAWS DAYS 2019中にまさかの登壇依頼
2019年2月23日にJAWS DAYS 2019が開催されました。
この日、僕はAlexaチャンピオン岡本さん、およびクラスメソッド社せーのさんのハンズオンの技術サポートスタッフとして朝一から参加してました。
ハンズオンを無事に終え、各社の宣伝ブースをウロウロしていたら、AWS Loftのコーナーがあったので日ごろお世話になりまくっているのでご挨拶にいきました。
行きましたら。
「Loftを活用なさっている方として登壇していただけませんか?」
と、その場で本件のお話がありまして、もともと参加予定だったのもあり引き受けさせて頂きました。
セッション概要が無茶ぶり
Loft枠ってそもそもなんだ?
と思っていたのですが、
AWS Loft Tokyo の達人による、「オレ流 Loft 活用術」
と書かれていて、「達人じゃねーよ。助かるから入り浸ってるだけだよ。」と思ったら・・
AWS Loft Tokyoを抜群に使いこなしている達人をお招きして、活用法を語って頂きます。
抜群に使いこなしている達人ってなんだ!?
ちなみに質問しました。
『会場は何人程度いらっしゃるのでしょうか?』
「300人は来ると思います」
なるほど、、遊びたおす会レベルだけど参加者が本気のガチ勢のAmazonオフィシャル登壇か。
オラぁワクワクしてきたぞ
※ *1
当日、オープニングでAWSジャパン長崎社長から名指しされる
登壇者は一般参加者より早めに入場できたのでオープニングからかなりの前列で座れました。
カッコいい動画が流れて、AWSジャパン長崎社長がオープニングの挨拶でした。
あんな雄大なプレゼンは見たことなかったです。
長崎社長、初めて生でみた!!#AWSStartupDay pic.twitter.com/TogsruuSfp
— show@技術書典6NOID本う78 (@surumegohan) March 27, 2019
今回のイベントが2回目として開催されたこと
開催地が珍しい場所であること
AWSの競合他社ではなくお客様を常に中心に考えていること
等を話されていて聴いていたら、スライドに「特許出願」と表示される一面がありました。
Amazonさんまた何かやったのかー と思ったら僕でした。
「AWS Loft Tokyoを活用して特許出願に至った宮崎さんをお招きしています。本日LTでご登壇なさるのでぜひ聴いてください。」
と、おっしゃられまして、 ふぁーー! ですよ。
特許申請の事例 と明記されてる!
— show@技術書典6NOID本う78 (@surumegohan) 2019年3月27日
というか僕を呼んでくれた!!
長崎社長に名前を呼ばれる日がくるとは思ってなかった
感動している!
#awsstartupday
この上なくありがたい話ですが、同時にこの上なく登壇ハードルを上げられました。
基調講演
概要だけ記載しておきます。
■海外スタートアップ動向
社員1人だけの企業にも拘わらず3万人のカスタマーがいる話
という話でした。
そして最後に
現在の現実というのは素晴らしいアイデアが浮かんだとしても、すぐに製品化することはなかなかできない。そこをAWSで解決している。
というJeff Bezosさんの話の引用で〆でした。
海外の方のプレゼンは大風呂敷なことも多々ありますが、そんなことをまったく感じなかったです。
そろそろ僕もSageMakerを本気で遊びたいです。
■Button Inc.の創業から現在まで
20年ぶりに来日したというMike氏。
マイキーさんと呼ばれるらしい。
自らがスタートアップを経験してきた中で犯してしまった失敗や、名誉の負傷についてのお話。
スタートアップを生み出すにはアイデアが必要なのはもちろんだが、それだけではいけない
チームとしての基盤、文化(カルチャー)を作ることが重要である
大事なことは「おもてなし」である。
「おもてなし」がスタートアップのカンパニーバリューとして重要
— show@技術書典6NOID本う78 (@surumegohan) 2019年3月27日
パートナー、ゲスト、社員候補者、同僚に対して、彼らが何を求めているのかを考える
#awsstartupday
採用については、課題を共に解決していくメンバーを雇用していくこと。
そして、人材開発や雇用担当者を最低1人あらかじめ雇っておくことの重要性を説いてました。
チームがお互いに双方向で、価値について共有しあう組織とすること。
そうやっていくことで、会社が危機に瀕しても乗り越えていくことができるということでした。
聴いていて、本当にスタートアップを生き抜いてきたトップの方なんだと認識しました。
スタートアップの創業時点からの注意とメンバーと共に歩める環境を作っていくことが大事ですね。
最近言われる「心理的安全性」も含まれる気がしました。
■防犯カメラ×行動解析AIで目指すゆたかな社会
スタートアップを立ち上げるのが3回目?のようなことをおっしゃっていた田中氏。
VAAK社では、防犯カメラに映る映像から、人物の行動を分析して行動の危険度をパラメータ表示するシステムを構築したとのこと。
万引きの防止に大変効果的で、かつ、人間そのものではなくあくまで人間の行動から危険度を導くため、プライバシーと安全安心が両立できます。
本システムで万引き犯を逮捕できた件数も7件あり、事故や事件を未然に防ぐ社会を作っていくというビジョンを掲げておられました。
苦労したのは価格面とのこと。
防犯に大きな予算を避けられないことが現実で、それでもサービスを提供する価格設定が大変だったそうです。
とはいえ、このシステムは無人レジ店舗での活用はすぐに実現できそうですし、需要が物凄くありそうな気がしました。
■スタートアップを成長させるプロダクト開発
SanSan株式会社・・?
ごめんなさい、初めて聞きました。。。と思っていたら名刺管理のEightの会社でした。
お世話になっております。。。
名刺を管理するというシステムに対して、5人から初めた話から、1文字でも間違えてはいけない正確さの話
そして、人力でやることも時には必要だったというエピソード。
Eightの名刺管理は人間がやっているという噂は本当でした。
創業して、会社が大きくなっていく各フェーズ毎に
「プロダクトコンセプト」と「足元の課題を解決するソリューション」の2つを進めていったとのこと。
名刺は個人情報なので名前や連絡先を別々に分割してクラウド保存する話や、インドで苦労した話は大変面白かったです。
目の前の課題を解決するシナリオを語ること
— show@技術書典6NOID本う78 (@surumegohan) March 27, 2019
大きな目線が忘れないこと
新しいステップがわからなくなり、意思決定が遅れることがある
エンジニアでもビジネスを考えることが必要
#awsstartupday
アマゾンの成長の源泉「イノベーション」、その手法をハンズオン
午後はこのハンズオンに参加しました。
Amazon社がいかにお客様中心に考えているのか、ということを体験するというグループワークのハンズオンでした。
ペルソナを具体的に想定し、Amazonに限らずECサイトに対する課題を考え、共有し、発表しあう場でした。
僕のチームでは、山奥に住んでいる高齢者がスマホが使えないが、高齢者と若者のAmazon通販をするコミュニティを形成し、利用の仕方を教えた若者にはアマギフが還元されるという仕組みを発表しました。
ともかくペルソナが具体的で、実際にAmazon社で行っている「書き出す」「ブラッシュアップする」という作業を体験させていただきました。
もちろん時間の都合でほんの一部でしたが、とことん自社都合よりも、利用者・お客様のために何が具体的にできるかを常に考えているということが伝わりました。
AWSワークショップ:AWS Amplify ハンズオン
唯一、技術的なセッションはこれだったと思います。
PDFを落としてきて、各自がそれをひたすらこなしていくAmazon社のよくあるハンズオンでした。
などを一気に学べるお得な時間でした。
相変わらず、ガンガン質問させていただきました。
講師の方が3~4名いらしたので、資料の不明点や、今実際に行っていることの意識合わせなどを都度挙手させていただきました。
大変勉強になりました。
Networking Timeという名のLT会
この後にLTが二部構成で行われる予定でした。
17時リハ開始でしたが、演出の方も大変だったようで資料を事前に渡すのか、当日渡すのか問題が発生したりしましたが、結果的には滞りなく進みました。
■登壇者控室で雑談&第一部LT
第一部のLT4名の方々は全員CTOでした。
明日リリース!という方もいれば、開発段階ではあるが環境がすごいという方もいらっしゃいました。
ちなみに、第一部の4名の方のうち1人は実は公開されている名前がタイポっていてレアなのでその写真を自分で撮るという方もいらっしゃいました。
CTOというものはスタートアップを立ち上げる強い意志があってこそなるものである。
とはいえ、社内エンジニア実際自分1人だけの苦労話とか、リアル話も聴くことができました。
そして、LTは急遽、ベンチというか椅子を並べて、その上に靴を脱いで立って登壇するというスタイルでした。
動画撮影する旨は事前に伺ってましたが、テレビ局かよというようなカメラも含めて最大で4台同時に回っていたように見えます。
俺のターン!
第二部の登壇は2人だけでした。
聴講者は結局3~40名くらいでしょうか。
スライドは冒頭にあげてます。
そして動画が流れてました。
LT大会第2部は、オレ流 AWS Loft Tokyo 活用術!
— AWS / アマゾンウェブサービス (@awscloud_jp) March 27, 2019
お一人目は、スマートマキアート 宮崎 翔平 様のLT、「AWSLoftTokyoでシステム構築したら特許出願できた話」です!#AWSStartupDay https://t.co/nS1vEXlIEP
■登壇前に紹介メッセージを聞かれた
「登壇者を紹介してから、登場してもらうので、何か紹介メッセージを教えてください」
と聞かれたので
スマスピやりたくて無職になった人
アドベントカレンダー1人で完走した人
わざわざ戸籍を変えて名字を第一JIS規格にした人
のどれですかねー となって、無難?に無職話を選んでいただきました。
■動画でカットされている箇所
イベント全体を通して、全員が真面目なスライドと登壇だったので、過去に使っていたブラックジャックによろしくの絵で叫ぶプレゼンをやろうと思っていたのですが、長崎社長に名指しされた手前少し真面目に寄せました。
とはいえ、会場がお酒入っていたので、多少笑いを取りにいきました。
「オープニングで長崎社長から、まさかの名指しして頂いたのは僕です。人生で最もハードルを上げられたLTをこれからやります」
というところから話させて頂きました。
NOIDアンバサダーとかも話したんですけどきっと大人の事情でカットされているのでしょう。
AlexaDayもロゴがギリギリ映ってないところがプロのカメラマンさを感じます。
■冒頭部分
AWS Loftを活用なさっている方は数多くいらっしゃるはずなので、他の人では話さないであろうネタを織り交ぜて、いかに抜群に使いこなしているか語りました。
2018年10月2日にAWS Loftを初体験して翌日から通勤定期券
売店のレシートのクレジットカード加盟店表記が変わったことを最初に指摘した人
しれっと技術書典の宣伝
僕の周囲の人が僕がLoftにいることを前提に接してくること
特に、知り合いとは言え明確なアポなしでLoftにやってきて、AlexaとDynamoDBの連携について質問された件は使わせて頂きました。
「いや、僕 Ask an Expertじゃねぇし!!」
と。
レシートとエキスパートじゃねぇし は会場が笑いに包まれたので織り込んで良かったです。
■コア部分は例の特許システムの話
VUI界隈のイベントで出会ったことがある方がほぼいないことを想定していたので、そもそもVUIの説明をしながら音声のレビューやログ分析について話しました。
公開資料なのでNDAもOKな構成を発表できることはこういう時に強みだと思います。
ちなみに今は公開している構成よりさらに進化しています。
出願日から換算して、おそらくAWS Loft Tokyoで構築したシステムで特許出願まで持っていったのは第一号なんじゃないかと話させて頂きました。
この際に会場全体から大きな拍手を頂きました。
本当にありがとうございました。
けれども、これを構築できたのは間違いなくLoftという環境があったからです。
■いかにAWS Loft Tokyoに助けられたか
僕自身がAWSについて本当に素人でしたが、エキスパート(SA:ソリューションアーキテクト)の方々に都度相談して助けてもらった件や、AWS Loftで開催されるイベントがどれだけ重宝したか、話させて頂きました。
また、登壇中に目に留まった塚田さん、松田さんには改めてお名前を含め、お礼をお伝えしました。
※ *2
実際、エキスパートの方々がいらっしゃらなければ、もっと遥かに時間がかかっていただろうし、むしろ、完成しなかったかもしれません。
登壇中でも話させて頂きましたが、エキスパートの方々でも意見が分かれることもあります。
特に本システムにおいてはRedShiftを用いるか否かは意見が分かれ、複数のエキスパートの方々と何度もディスカッションさせて頂きました。
LTという時間の都合上、話しきれませんでしたが、会場がLoftではなかったですがQuickSightのハンズオンに参加したことも非常に大きかったです。
BIツールの構成はPentaho、Kibana、Metabaseなど過去に僕が非常に苦労してきた中で、QuickSightの気軽さ・料金プラン・機械学習対応等は大変ありがたい存在です。
本システムにおいてはフロント部分はほとんどQuickSightだけと言っても良いです。
もちろん、QuickSightの検証もLoftで行いましたし、行っています。
■登壇後にエキスパートの方々のコメント
僕と伊藤様の登壇が終わった後、ファシリテーターの方が急遽、エキスパートの方々1人1人に前に来てもらい、登壇を聞いてみてコメントを求める一幕がありました。
もう本当に嬉しい限りであるということ
Loftはスタートアップとデベロッパーのための場なので、どんどんエキスパートの方々を活用してほしいこと
エキスパートの方々は皆さんに活用されてこそ価値を提供できるということ
などを話されてました。
で、せっかく関係者全員前に集まったので
「記念撮影しましょう!!」
と言ってみたら実現しました。
※
なお、翌日の本日もLoftにいたら、伊藤様がいらしたので写真公開OKを頂きました。
*3
まとめ
スタートアップに焦点をあてた600人規模の公式イベントは中々ないと思います。
まさしく、これから起業する方、VCの方、スタートアップの方向けのイベントでした。
得られるものが他のイベントと明らかに違い、大変濃密でした。
そして、改めて僕がAmazon社のことが好きなのは、誰もマウンティングしたり殿様な態度をとらず、本当にお客様中心で動いている人達だからだと再認識しました。
いくつかの職場、大企業から中小企業、SIer・SES・Web系を渡り歩きましたが、たいてい「俺様」「王様」タイプの人がいます。
Amazon社の方は結構な人数と出会ってきましたが、誰一人としてそのような人をみかけません。
比較的表に出てくる方も、裏方の方も僕の狭い観測範囲ですが全員が「お客様中心」がモットーなんだと感じますし、みなさん楽しそうに見えます。
よくある社訓だけお客様第一な組織ではなくて、本当に企業文化なんだと感じます。優しい世界。
僕自身が、AWS Loftを抜群に使いこなしているかはわかりませんが、しばらくは入り浸りそうなので、引き続きよろしくお願いいたします。