株式会社ISAOさんの「AI音声アシスタント/スマートスピーカービジネス活用セミナー & VUI体験ワークショップ」に参加した話
本日は掲題の通り、以下のイベントに参加しました。
参加目的
主な参加目的は以下でした。
技術的なことは一旦忘れて、VUIのデザイン面について考え直すため
VUIの知見がない方々とワークショップをすることで、VUIのライトユーザー目線を感じたかったため
国内外の事例を知るため
世の中にVUI知見の少なかった時期に、組織的にAlexaスキルを作成した株式会社セゾン情報システムズの話を聴くため
受付からQRコード
株式会社ISAO(以下、ISAOさん)は社内の飲食物のお買い物等をQRコード決済するアプリを活用しています。
今回のイベントも事前に「Mamoru Biz」というスマホアプリをインストールしておく必要がありました。
というわけで、受付時から0円の決済で「参加」となります。
※
僕はブログ枠なので0円でしたが、他の方は何かの方法で参加費を支払ったと思われます。
自己紹介タイム
グループワークでのワークショップがあるため、4人テーブルにいた僕は4人そろったところで自己紹介をしあいました。
僕のテーブルでは僕以外の3名はVUIの知見がほぼない状態で、職種もバラバラでした。
この時点でかなりラッキーです。
自分と異なる境遇の方と組めるのはグループワークの醍醐味です。
株式会社ISAOについて
ISAOさんの会社紹介からイベント開始です。
僕は以前からISAOさんの方々とは面識がありましたがあらためて。
■性格のいい会社 第9位
ISAOさんは社員クチコミサイトのVokersさんの調査レポートで「性格のいい会社 第9位 (対象企業3318社)」となっております。
・性格のいい会社ランキング
https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_45
■バリフラット
ISAOさんは
役職、階層、部署、情報格差がゼロ
という組織構造をしています。
社内の座席もフリーアドレスなので、座席自由な感じです。
最近、テレビ放送もあったそうです。
社員の給料や、飲み会の費用とかまで公開してるらしいです。
めっちゃオープンですね。
僕は暗黙知が好きではないですが、ここまでオープンだと清々しい感じでとても良いです。
ちなみに「バリ」は豚骨ラーメンのバリカタのバリらしいです。
音声AIアシスタント国内外最新動向とビジネス活用の可能性
ISAOさんのVUIerというと僕の中では中嶋さんなのですが、中嶋さんの市場動向のお話です。
スマートスピーカーのアメリカ市場のお話として、世帯普及率が41%に達した旨の話があり、海外では自転車や車載など家の外でのVUIの利用シーンが拡大していくとのこと。
また、日本国内の市場としては電通デジタルさんの記事等を引用なさっていました。
そして、企業がスマートスピーカーもしくはVUIを利用していると企業イメージが良くなる傾向にあるようです。
新しいモノを取り入れてるという印象になるのかもしれません。
■音声アシスタント ≠ スマートスピーカー
デバイス類において、最近ではJabraの無線イヤホンや、HiMirror Mini(鏡にAlexa)などもあり、音声アシスタントが必ずしもスマートスピーカーを指すわけではないことを語っておりました。
https://www.himirror.com/ja-JP/product/himirror-mini
個人的にはXperia Ear Duoもですね。
これらにより、家の中ではなく、屋外でのVUIの用途が拡がっていくとのこと。
ただ、日本文化に馴染みやすいかどうかはなんとも言えないところです。
最近はイヤホンで電話してる人を見かけるようになってきましたけど、街中で音声アシスタントを利用している人は出会ったことがないかもです。
また、アメリカではAlexa搭載の自転車、ピアノ、トイレがあったりするらしいです。
トイレは知らなかった。。
■収益化の可能性
日本で音声アシスタントでの収益化は、AlexaがAmazonPayでEC機能なら展開可能です。
※ これは個人では不可で企業のみ対象であり審査があったはず
スキルに対する直接的な課金、いわゆる「スキル内課金」は現在USのAlexaのみとなっています。
とはいえ、日本に来るのを待ってるだけでは仕方がないので、アメリカ向けにスキルを今のうちからリリースして研究しておくことや、日本国内でユーザーのリテンション率を高める方法は模索しておくべきでしょう。
アメリカで有名なスキル内課金のあるスキルとして
「YesSire」「Would You Rather for Family」等が紹介されてました。
はじめてのスキル開発でスキルアワードを獲得するまで
株式会社 セゾン情報システムズ さんのスキルアワードを受賞するまでの話です。
昨年のAlexaスキルアワードの法人部門最優秀賞、および、特別賞のダブル表彰となった
「クイックちゃん」
というスキルについてです。
社内利用目的のスキルであり、一般公開はされていません。
上記サイトを引用すると
クイックちゃん (株式会社 セゾン情報システムズ):社内のマッサージサービスシステム運用のため、視覚障害のあるヘルスキーパーの方がほかのスタッフの助けがなくても業務ができるようにするスキルです。マッサージ中で両手がふさがっていたり、視覚に障害があったりという状況で音声をうまく使い、実際の業務改善に役立てている点などが評価されました。
マッサージを施術する人が視覚障害があるので、音声アシスタントにより業務効率化と自立ができた話です。
社内Slackと連携して、15分間のクイックマッサージを受ける人を予約・通知できるようです。
このスキルの最も素晴らしいところは僕個人の勝手な考えですけども、視覚障害のあるヘルスキーパーの方が自立して業務を遂行できるようになったことだと思います。
今まで誰か他のスタッフがいないと業務ができなかった状態だったのが、音声により運営管理が大幅に削減でき、自立できたのです。
これは、人間の尊厳に関わってくるところですし、人に頼る量・質が減って自分で業務がまわせるようになったということは素晴らしいことだと思います。
■ノウハウがない中でスプリントをまわして開発
当時、セゾン情報システムズさんではVUIの知見がありませんでしたが、有志メンバーを他の業務と兼務で募り、開発に至ったとのこと。
会社が既にスクラム開発には慣れていたこともあり、2週間のスプリントを4回まわすことで開発したようです。
VUIはユーザーが想定外の言葉を話しかけることも多々ありますので、スクラムやアジャイルは切っても切れないでしょう。
その相性が良かったとの話がありました。
ワークショップ
これがイベントのメインであるワークショップです。
VUIはコーディング工程より、企画・設計が極めて重要となります。
そのため、このワークショップではVUIのスキル・アプリの企画・設計をグループワークとして実施します。
■まずはテーマを選ぶ
中嶋さん判断で4、5人ごとのグループでリーダーを決め、まずはスキルのテーマを決めます。
今回は2択で、
子ども・家族向けのスキル
屋外で利用するスキル
のどちらかをテーマにするかをチームで最初に決めます。
僕のチームは後者の屋外利用を選びました。
■個人ブレスト
屋外で音声アシスタントを利用する際に、どのようなスキルが良いかを時間を決めて個人単位でブレストします。
数分間で付箋紙にスキルのアイデアをガンガン書いていきます。
僕は8つ書きました。
■チーム内で共有
自分の付箋紙それぞれをチーム内で共有していきます。
同じようなスキルはまとめていきます。
4人いたので、同じような発想があったり、まったくなかった視点があったりして面白かったです。
■サイレント投票
共有されたチーム内すべてのスキルアイデアの付箋に、1アイデアあたり1人1個だけ、選びたいアイデアにしゃべらずに★マークをつけます。
うちのチームは全員が★をつけたアイデアが2つあり、結果的に
車を運転している際に目的地近くの駐車場を提案してもらうスキル
となりました。
■ハッピーパス
ハッピーパスの説明を中嶋さんからしてもらい、個人単位で駐車場スキルのハッピーパスを作っていきます。
2色の別々の付箋で、Alexaと人間でのやりとりを書いていきます。
■チーム共有
各自のハッピーパスができたら、チーム内で1人ずつ発表しあって共有していきます。
各自のアイデアの良いところを集約して、1つのスキルを作り上げていきます。
僕のチームはVUI設計も初の人たちだったので、人間のセリフがほとんど「はい」になっている方もいましたし、駐車場のお値段を教えてくれるところまで言及した方もいらっしゃいました。
僕は若干チート状態だったので、
「呼び出し名」+「で」+「●●」
とワンショットでも導けるような設計にしました。
オススメ駐車場で安いところ
オススメ駐車場で近いところ
と、駐車場の条件として、目的地に近いけど料金が高い場合、遠いけど安い場合を選択できる設計にしました。
呼び出し名の命名規則とか細かいところは抜きにして
「こんなのできるかわからないのですが・・」
と枕詞をつける方が複数名いらっしゃったので、技術的に可能かどうか、スロットの話などもチーム共有しました。
■他チームのハッピーパスを試す
自分のチームのスキルをAlexa役とし、他チームを人間役として、ハッピーパスが通せるかのやりとりを行いました。
恐らく、これが今回のグループワークの主目的です。
自分たちが設計した通りにユーザーが話しかけてくれないことを体験できるからです。
他チームが動物の鳴き声から動物名を当てて、その後、その動物についての情報が得られるスキルでした。
が
アフリカで「ガオー」と鳴く動物 と言われたら僕は「ライオン」だったのですが、どうも「象」だったらしいです。
パオ―じゃないのか・・・? とか連想させる難しさを体感できました。
■自動応答システムではなくVUIを意識
機械的な「はい」「いいえ」のやりとりではなく、対話をしているような設計を意識することで、自動応答システムではなくVoiceUIとなる旨を最後に中嶋さんが語っておりました。
懇親会
懇親会でカツサンドとドリンクをおいしく頂いていたら、その間にISAOさんのエンジニアが各チームのスキルを実装して懇親会で実機で流して拍手でおしまいでした。
グループワークで企画・設計したスキルがEcho Spot実機で流れたので初体験の方々から おおおおー! という声が聞こえました。
NOIDのハンズオン時と同じような感じでした。
優しい世界。これがいい。とてもいい。
社内見学ツアー
恒例らしく、懇親会後に希望者はISAOさんのオフィス内を見学できました。
フリーアドレス万歳な環境で本当にフラット。
と言いつつも、集中したい人用の半個室スペースが複数あったり、飲食物をQR決済で給与天引きで買えたりなどの取り組みを拝見できました。
このような取り組みは都度行っているようで、半年後にはまた変わっているだろうとのことです。
まとめ
ISAOさんのフラットさ、セゾン情報システムズさんの知見、グループワークで自分以外の視点の方々の考え方等を得ることができました。
エンジニアではない視点でのアイデアは特に刺激になります。
これからVUIをやっていこうかと考えていらっしゃる企業・個人にオススメのイベントです!